明王の種類

明王は9種類あります。

不動明王(fudo-myoou)

不動明王不動明王(ふどうみょうおう)は、五大明王(ごだいみょうおう)の中心となる明王です。「お不動さん」とも呼ばれ親しまれている仏です。真言宗・天台宗・禅宗・日蓮宗などの日本仏教で幅広く信仰されています。サンスクリット(梵名)ではアチャラナータ(シバ神の異名)と言われます。「アチャラ」は「動かない」、「ナータ」は「守護者」を意味するため「不動」と日本語訳されています。不動明王は、憤怒の形相で、右手には三鈷剣(さんこけん)を、左手には、羂索(けんじゃく)を持ち、迦楼羅焔(かるらえん)を背負っている姿が一般的です。また、天地眼と呼ばれる「右眼を見開き、左眼をすがめる」または「右眼で天をにらみ、左眼で地をにらむ」眼をしています。よく見ると、右側の牙が上を向き、左側の牙が下を向いていて、磐石(ばんじゃく)といわれる粗岩の上に立つか座っています。

大日如来 の化身である不動明王の眷属(けんぞく)には、矜羯羅(こんがら)、制多迦(せいたか)がいます。不動明王が矜羯羅、制多迦の二童子を脇侍(わきじ)にした三体の像を 不動三尊(三体不動)と呼びます。穏やかな表情をしているのが矜羯羅童子で、好戦的な表情をしているのが制多迦童子です。矜羯羅童子は、釈迦の悟った心理・法の本性を理解し、法の教えを実践します。制多迦童子は、他者の利益になることをおこなう、おこないの行(ぎょう)を実践します。

眷属(けんぞく)は、明王に従属する使者です。不動明王の眷属の人数は、二童子、三童子、四童子、五使者、八大童子、十二使者、三十六童子、四十八使者など経典によって異なります。不動三尊(不動明王+矜羯羅童子+制多迦童子)が一般的です。不動明王の眷属には、矜羯羅童子(こんがらどうじ)、制多迦童子(せいたかどうじ)以外には、慧光童子(えこうどうじ)、慧喜童子(えきどうじ)、阿耨達童子(あのくたどうじ)、指徳童子(しとくどうじ)、烏倶婆伽童子(うぐばがどうじ)、清浄比丘童子(しょうじょうびくどうじ)などがいます。

不動明王の眷属は、不動明王の功徳や活動力を具現化したものとも言われています。不動明王の功徳や活動力は、衆生(しゅじょう)ひとりひとりの煩悩や願いのように、数限りなくあります。このような功徳や活動力といった具体的に表現できないものを、衆生の眼に見えるものとして表現したのが「眷属」だと言われています。

仏像ではありませんが、曼殊院・黄不動、 青蓮院・青不動、高野山明王院・赤不動も有名です。非公開や公開時期が限られているものも多く、拝観できる機会は限られていますが。

倶利伽羅竜王(くりからりゅうおう)は不動明王の化身です。倶利伽羅不動ともよばれます。倶利伽羅竜王が右手に持つ剣には龍がからみついています。龍は煩悩(ぼんのう)をあらわし、剣は悟りをあらわします。煩悩(=龍)と悟り(=剣)とがからみあっているのは、煩悩におおわれた娑婆世界が、そのまま悟りの世界であることを意味します。倶利伽羅竜王の像は、滝などの横に置かれることが多く、修行(滝行)の際の信仰の対象となります。

降三世明王(gouzanze-myoou)

降三世明王(ごうざんぜみょうおう)は、五大明王(ごだいみょうおう)の一尊で、東方に配されます。梵名は「トライローキャ・ヴィジャヤ(三千世界の支配者シヴァを倒した勝利者という意味)」といい、降三世夜叉明王とも呼ばれます。降三世明王は、貪欲、怒り、迷いを退散させる明王です。降三世明王は、過去、現在、未来、の三世の煩悩を抑え鎮めます。降三世明王像は、手が八本あり、目が三つあり、足もとにヒンズーの神(シヴァ神とその妻ウマー)を踏みつけています。また、左右の手の小指を結ぶという特徴的な印相をしています。

軍茶利明王(gundari-myoou)

軍茶利明王軍茶利明王(ぐんだりみょうおう)は、五大明王(ごだいみょうおう)の1明王です。軍荼利明王は、様々な障害を取り除き、悪い鬼や外敵を退散させる明王です。軍荼利明王像は、体(手首、足首)に蛇を巻き付け、髪を逆立てて、親指と小指のみを折った印相を結ぶ姿が一般的です。

大威徳明王(daiitoku-myoou)

大威徳明王大威徳明王(だいいとくみょうおう)は、五大明王(ごだいみょうおう)の一尊で、西方に配置されます。梵名は「ヤマーンタカ(死神ヤマをも殺す者という意味)」 といいます。阿弥陀如来(あるいは 文殊菩薩 )の怒りの化身で、水牛に乗る戦勝祈願の神仏です。大威徳明王像は、顔が6面、腕が6本、足が6本という異様な姿で水牛にまたがり、印相は中指を立てつつ両指を組む姿が一般的です。

金剛夜叉明王(kongouyasha-myoou)

金剛夜叉明王金剛夜叉明王(こんごうやしゃみょうおう)は、五大明王(ごだいみょうおう)の一尊で、北方に配置されます。 梵名は「ヴァジュラヤクシャ」といい、どのような障害をも貫く聖なる力を持つ神という意味です。金剛夜叉明王は、仏界最強の武器である「金剛杵(こんごうしょ)」を持ち、(中央の顔に)5つの目と6本の手を持ち、人の心に巣食う煩悩を退治すると言われています。「夜叉」は鬼神を意味します。

愛染明王(aizen-myoou)

愛染明王愛染明王(あいぜんみょうおう)は、人間の愛欲を浄化させて悟りへと導き、男女間の悩みを救ってくれる明王です。梵名は「ラーガ・ラージャ」または「マハ・ラーガ」といいます。全身が赤く、獅子の首をあらわした冠をかぶり、その上に武器の五鈷杵を置いている姿が一般的です。東京の上野駅前にある東京国立博物館(トーハク)では、愛染明王坐像が見学できます。

孔雀明王(kujyaku-myoou)

孔雀明王孔雀明王(くじゃくみょうおう)は、明王のなかでは異色な「穏やかな表情」が特徴です。もともとはインドの女神 (梵名)マハーマーユーリー(偉大な孔雀の意味)で、摩訶摩瑜利(まかまゆり)、孔雀仏母、孔雀王母菩薩、金色孔雀王とも呼ばれます。インドでは 毒蛇を喰う孔雀(くじゃく)が どんな毒でも消してしまう女神として信仰されていることから、あらゆる毒や病気や災いを消す明王として仏教に取り入れられたと言われています。孔雀明王は、孔雀に乗った姿が一般的です。

烏枢沙摩明王(ususama-myoou)

烏枢沙摩明王烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)は、元は古代インド神話のウッチュシュマと呼ばれた炎の神と言われています。「烏芻沙摩」「烏瑟娑摩」「烏枢沙摩」とも呼ばれます。烏枢沙摩明王は、最近「トイレの神様」として注目されています。天台宗密教では、明王の中心的役割を果たす五大明王の一尊とされています。

大元帥明王(daigensui-myoou)

大元帥明王は、もともとは広野に住んでいて、旅人を捕まえては食べていたのですが、仏陀の説法を聞いて改心し、仏教を守る神になりました。大元帥明王は、軍神として信仰され、外敵に対する戦勝祈願であがめられました。護国、疫病からも守ってくれる明王です。大元帥明王の像は、手は四本(または八本)あり、右手の一つで拳を握り、人差し指と小指を立てた印を結んでいるのが特徴です。

明王の特徴

明王像は、迦楼羅焔光(かるらえんこう)、宝剣(ほうけん)、条帛(じょうはく)、装身具(そうしんぐ)が特徴です。

迦楼羅焔光(karura-enkou)

伝説上の鳥である「迦楼羅」の形をした焔(ほのお)をあらわした火焔光背。

宝剣(houken)

悪鬼を懲らしめ煩悩を断ち切る剣。

条帛(jouhaku)

幅の細い布。左肩から右わきに斜めに掛ける たすき状の布。

装身具(soushingu)

胸や腕に菩薩像のように 腕釧(わんせん)、臂釧(ひせん)などの飾りをつける。



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