奇門遁甲の詳細
奇門遁甲(きもんとんこう)は、中国で発祥した占術・方位術の一種で、方位を使うことで運命を切り開くためのもので、 三国志に登場する諸葛亮 孔明が駆使したことで有名です。ここでは奇門遁甲の詳細として、天盤・地盤、九星、八門、九宮、八神、奇門遁甲と二十四節気を説明します。
奇門遁甲の構成要素である「天盤・地盤」は、一番重要な要素で、十干(じゅっかん)で表します。天盤・地盤は、干であらわせるので天盤干・地盤干、干、三奇六儀とも呼ばれます。十干(じゅっかん)は、陰陽五行説の10の要素をあらわしたものです。天盤は「方位の目的」をつかさどります。地盤は「個人差」をつかさどります。目的(求財、求情など)により、天盤の吉方を使うことが重要です。
十干の要素、陰陽五行、天盤の目的、どのようなことに使用できる方位かは 以下の通りです。
陽,木,求官
地位、身分、社会的な事柄、目上と関わる場合
陰,木,求安
安定、和合、平安、落ち着きをもとめる場合
陽,火,求財
金銭にかかわる事柄
陰,火,求知
学問、試験、企画などの知的活動
陽,土,求信
信用、交際、技術などを求める場合
陰,土,求情
異性的魅力、人間的魅力、人気などを求める場合
陽,金,求寿
健康にかかわる事柄
陰,金,求道
思想・信念、1つの事を追求する場合
陽,水,求勝
勝負、競争、スポーツなど競い合う場合
陰,水,求秘
秘匿、隠匿、物事の終結などの目的
十干の「甲」は至高の存在とし、「乙・丙・丁」を三奇、「戊・己・庚・辛・壬・癸」を六儀と呼びます。三奇と八門を合わせ、(作盤の途中で)甲を遁す(かくす)ため、奇門遁甲と呼ばれるという説があります。
天盤・地盤の組合せは、奇門遁甲において最も重要な部分です。天盤・地盤の組合せと、吉凶は以下の通りです。
奇門遁甲の構成要素である「九星」は、九星気学の「九星」とは異なります。区別のために、天九星、九天星、天蓬九星などとも呼ばれます。九星では、天禽星(てんきんせい)のみが凶で、他は吉凶がありません。九星は、以下の9つです。
略称=蓬
頭が切れ、何事に対しても適切に対応できる。短所:不安定・軽薄・色情
略称=内
思慮深く、謙虚で間違いのない堅い動きができる。短所:疑い深い・愚痴
略称=冲
勤勉に働き、出世、福をもたらす。短所:なし
略称=輔
文学、学術に優れ、優雅で落ち着きがある。短所:世間知らず
略称=禽
意気盛んで、古き体制を捨て新しいことをやる。短所:激烈・節操なく暴走
略称=心
質実剛健で、勇気があり、正義感強く財を司る。短所:無分別・強引・危険
略称=柱
仁義を尊び、勇猛で正義のために命をかける。短所:狡猾・狂暴・自暴自棄
略称=任
円満で平和主義で慎重で人を援助する。短所:ずるがしこく人を落とし入れる
略称=英
心正しく、責任感が強く、世の中に精一杯尽くす。短所:無責任・拝金主義
奇門遁甲の構成要素である「八門」は、天盤・地盤に次いで重要な要素です。八門は、以下の8つです。
略称=休,吉凶=吉
安定、落ち着く、休まる活発なことをやる方位ではない。
略称=生,吉凶=吉
生産的、建設的、積極的現状を保持する方位ではない。
略称=傷,吉凶=凶
犠牲をはらう、必要なリスク、障害勝負ごと、相手をやっつける方位。
略称=杜,吉凶=凶
閉鎖的、非社交的極秘にものごとを進める方位。
略称=景,吉凶=平
華やかさ、表面を繕う、内実に乏しい発展の予感はするがトラブルも発生する方位。
略称=死,吉凶=凶
断絶、物事の終り、古めかしい現状のままで良いという方位。
略称=驚,吉凶=凶
ハプニング、驚き、想定外相手に刺激をあたえ、活動を促す方位。
略称=開,吉凶=吉
開放的、力強さオープンにして、すべてのことを受け入れる方位。
奇門遁甲の「九宮」は、九星気学の九星と同じものです。九宮は、紫白星、七色星、本命星などとも呼ばれています。九宮は、五行と星を付けて、一白水星・二黒土星・三碧木星・四緑木星・五黄土星・六白金星・七赤金星・八白土星・九紫火星とも称されます。紫白星とも呼ばれるように、白(一白・六白・八白)と紫(九紫)が吉とされます。九宮は吉凶があらかじめ決まっています。奇門遁甲で九宮は、それほど重要ではありません。
略称=一,吉凶=吉
冷静沈着、知能、浪費、性欲、激動の人生
略称=二,吉凶=平
従順、柔和、不十分、防御的、警戒、消極
略称=三,吉凶=平
急激、怒り、ケンカ、口論、自分勝手、独走
略称=四,吉凶=平
温和、不定、信用、道徳
略称=五,吉凶=凶
陰険、残忍、凶悪、支配、闘争、陰謀
略称=六,吉凶=吉
質実剛健、武勇、果敢、迷いがない
略称=七,吉凶=平
二枚舌、享楽、積極的、行動の挫折
略称=八,吉凶=吉
反逆、停滞、動揺、活動、転落
略称=九,吉凶=吉
聡明、熱心、華美、演出、発明、発見、創造
奇門遁甲の構成要素である 八神は、五吉神と三凶神に分けられ、吉凶があらかじめ決まっています。奇門遁甲では 八神は それほど重要ではありません。
略称=符,吉凶=吉
気品・育成と発育・凶事があっても滅殺・神仏品位のある方位、プライドを重んじる方位。
略称=蛇,吉凶=凶
偽り・不正・疑い悪い戦略を練って、人を陥れたり、利益を得る方位。
略称=陰,吉凶=吉
正直・慈愛・陰となって人を助ける・清潔利益を求める方位ではない。
略称=合,吉凶=吉
和平・平和・善良・男女の出会い。人となごやかに過ごす方位。
略称=陳,吉凶=凶
猛烈・権力・訴訟・交通事故権力を無謀に行使する方位。
略称=雀,吉凶=凶
聡明・よこしまな考え・陰謀・悪事名声と派手さを求める方位。
略称=地,吉凶=吉
優雅・柔和・謙虚・従順目上におとなしく従う方位。
略称=天,吉凶=吉
公平・希望・願望成就自分を公平な立場で扱って欲しい方位。
二十四節気(にじゅうしせっき)は、1年を24等分し、その分割点(節気)を含む日に季節をあらわす名称をつけたものです。各節気の15日間は、5日毎に上元・中元・下元に分けられ、陰陽・局数というものであらわされます。奇門遁甲の作盤では、二十四節気がどのような分割になるかが重要です。二十四節気の分割を間違えると、奇門遁甲の盤が間違ったものになります。節気、日付(年により変動)、三元の陰陽・局数は以下の通りです。
上元陽一局、中元陽七局、下元陽四局
上元陽二局、中元陽八局、下元陽五局
上元陽三局、中元陽九局、下元陽六局
上元陽八局、中元陽五局、下元陽二局
上元陽九局、中元陽六局、下元陽三局
上元陽一局、中元陽七局、下元陽四局
上元陽三局、中元陽九局、下元陽六局
上元陽四局、中元陽一局、下元陽七局
上元陽五局、中元陽二局、下元陽八局
上元陽四局、中元陽一局、下元陽七局
上元陽五局、中元陽二局、下元陽八局
上元陽六局、中元陽三局、下元陽九局
上元陰九局、中元陰三局、下元陰六局
上元陰八局、中元陰二局、下元陰五局
上元陰七局、中元陰一局、下元陰四局
上元陰二局、中元陰五局、下元陰八局
上元陰一局、中元陰四局、下元陰七局
上元陰九局、中元陰三局、下元陰六局
上元陰七局、中元陰一局、下元陰四局
上元陰六局、中元陰九局、下元陰三局
上元陰五局、中元陰八局、下元陰二局
上元陰六局、中元陰九局、下元陰三局
上元陰五局、中元陰八局、下元陰二局
上元陰四局、中元陰七局、下元陰一局
節気のなかでも夏至・冬至の日は、陰陽が反転するため、奇門遁甲(時盤)の作盤も変わります。夏至・冬至の日、及びその前後の期間は、注意が必要です。